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2026-06-17

境界知能を本人に伝えるべきか|診断を伝えなかった弟が自分で気づくまで

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はじめに

子どもに境界知能やグレーゾーンの診断が出たとき、多くの親が悩むことがあります。

「これを、本人に伝えるべきなんだろうか」。

伝えれば傷つけるかもしれない。でも隠し続けるのも違う気がする。正解が見えない問いです。

我が家の場合を書きます。弟はIQ68、診断は軽度知的障害で、家族では「グレーゾーン」と呼んでいます。結論から言うと、親の口から診断を直接伝えたことは一度もありません。それでも弟は、自分で気づいていきました。

我が家は、診断を本人に直接伝えなかった

弟に「あなたはIQがいくつで、こういう診断で」と、親がはっきり言葉で伝えたことはありません。

でも、弟は昔から「自分は周りと違う」と察していたと思います。

療育手帳の取得、病院や支援員さんへの相談、支援級での勉強。そういう支援を受け続ける中で、本人なりに「自分は他の子と何かが違う」と感じ取っていったのだと思います。

実際、今では母親に「自分は障害を持っているから」と、たまに口にするそうです。誰かが宣告したわけではないのに、自分で自覚するようになっていました。

子どもに、直接伝える必要はないと思う

この経験から、私が思うのは――診断名を、親がわざわざ本人に直接伝える必要は全くないということです。

成長していく過程で支援を続けていれば、本人はやがて自分で自覚するようになります。わざわざ「あなたは障害がある」と告げて、ショックを与える必要はありません。

大事なのは「いつ伝えるか」ではなく、自覚が芽生えてしまった時に、どうフォローするかです。

自覚が芽生えた時こそ、言葉でフォローする

問題は、本人が「自分は障害があるから」と思い始めた時です。

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ここで放っておくと、自己否定につながります。だからこの瞬間にこそ、家族の言葉が要ります。

私が兄として心がけているのは、弟の特性に直接触れずにフォローすることです。

たとえば、弟が職場の人から冗談で「お前ADHDか?」と言われたことがありました。そんな時、私はこう返します。

「兄ちゃんだって多動っぽいとこあるし、そんなの大したことないよ。完璧な人間なんていないし、みんな何かしら苦手を抱えて生きてる。お前だけじゃないって」

ポイントは、弟自身の特性を正面から話題にしないこと。代わりに、自分(兄)のできない部分の話にしたり、もっと広い視点の話にすり替えたりして、弟のメンタルが削られないようにしています。

「お前はこういう特性があるからね」と正面から諭すのは、たとえ優しさからでも、本人を追い詰めることがあります。さらっと受け流し、「大したことじゃない」という空気をつくる。それが、私なりのフォローの仕方です。

伝える・伝えないに正解はない、けれど

もちろん、家庭によって事情は違います。本人の性格や、周りの環境によっては、きちんと言葉にして伝えたほうがいい場合もあるでしょう。

ただ、我が家を振り返って言えるのは、診断名を背負わせることより、本人の自尊心を守ることのほうが、ずっと大事だったということです。

「障害がある」という事実そのものより、「自分はダメな人間だ」と思い込んでしまうことのほうが、本人を苦しめます。

大事なのは、診断名より「その子を知ること」

伝えるかどうかを悩む前に、できることがあります。それは、その子が何が得意で、何に困っていて、どんな言葉なら傷つかずに受け取れるのかを、家族が知っておくことです。

それが分かっていれば、自覚が芽生えた時にも、その子に合った言葉でフォローできます。

私たち家族が作っているアプリ「ヨゾラ」は、相談するだけで、その子の傾向(得意・苦手・効いた声かけ)が少しずつ溜まっていくツールです。診断名でその子を見るのではなく、その子そのものを理解していくための場所として使ってもらえたらと思います。

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