2026-08-23
境界知能でも運転免許は取れるのか|勉強が苦手な弟が人生で一番ペンを持った時期
はじめに
子どもが高校を卒業する前後になると、運転免許の話が出てくると思います。
通勤に使うかもしれない。友達が取り始める。本人も欲しいと言うかもしれない。
ただ、学校の勉強でずっと苦労してきた子だと、親としては身構えると思います。学科試験があると聞けばなおさらです。
私の弟は26歳で、IQは68です。診断は軽度知的障害で、家族の中では「グレーゾーン」と呼んでいます。弟は今、実家を出て一人暮らしをしながら働いています。
この記事では、その弟が運転免許を取ったときのことを書きます。
結論:うちの弟は運転免許を取れました
先に結論を書きます。取れました。
取ったのは普通自動車免許です。21歳くらいだったと思います。教習所には通っていました。
学校の勉強は最後まで苦手なままでした。それでも免許は取れています。
学校の勉強は、最後まで苦手だった
弟は勉強ができる子ではありませんでした。
このブログで何度も書いてきたとおりで、勉強や宿題との向き合い方は、うちの家がずっと苦労してきたところです。机に向かわせること自体が大変でした。
だから私は、弟と「参考書」という言葉が同じ文の中に並ぶことは、この先ないだろうと思っていました。
本人が「取りたい」と言い出した
きっかけは、こちらから勧めたことではありません。
弟のほうから「免許を取りたい」と言い出しました。
人生で一番、ペンを持っていた時期
そこからの弟は、私たちが見てきた26年の中で、一番ペンを持っている時間が長い時期を過ごしました。
参考書を必死に読んでいました。書いて覚えていました。試験に向けて、誰にも言われずに自分から勉強していました。
言われたからやる、ではありません。自主的にやっていました。
学校では最後までできなかったことです。同じ人間が、同じ「暗記」という作業をやっています。違ったのは中身ではなく、そこに目標があったかどうかでした。
勉強ができないのではなく、やる理由が分かっていなかっただけかもしれない
この一件を見て、私が思ったことがあります。
明確な目標があれば、人はやり切れるのではないか。 これは境界知能やグレーゾーンに限った話ではないと思っています。
学校の勉強は、目標が本人から遠すぎるのだと思います。今これを覚えると、自分の生活の何が良くなるのか。そこが本人の中で言葉になっていない。
免許は違いました。取れば運転できる。取れなければ運転できない。本人にとっての「なぜ」と「得」が、はっきりしていました。
境界知能は治るのかという記事にも書きましたが、うちは弟のIQや学力を上げようとしてきた家ではありません。この免許の件も、弟が急に賢くなったという話ではないと思っています。同じ能力のまま、動き方だけが変わったという話です。
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私自身が、この話に助けられている
これは家族としてではなく、私個人の話です。
私にも夢があります。ただ、諦めそうになる時期があります。
そのたびに、私は弟の免許取得のことを思い出しています。学校の勉強がずっと苦手だった弟が、自分で決めた目標のために、人生で一番ペンを持った。それを近くで見ています。
支えられているのは、私のほうです。
親ができるのは「なぜやるのか」と「本人の得」を言葉にすること
子どもが、言われたことをやらない。これは多くのご家庭であることだと思います。
そのときに私が考えるようにしているのは、次の2つです。
- なぜ、それをやらなければいけないのか
- それをやると、本人にどんな良いことがあるのか
この2つが本人の中ではっきりしていれば、境界知能でもグレーゾーンでも、根気強く、しかも自分から動けるのではないかと思っています。
逆に言うと、動かないときは、本人がサボっているのではなくこの2つがまだ本人の言葉になっていないだけかもしれません。少なくとも、うちの弟の免許の件はそう見えました。
※これはうちで起きたことから私が考えたことで、確立した方法ではありません。
よくある疑問
境界知能でも運転免許は取れますか
うちの弟は取れました。ただ、これは「誰でも取れる」という意味ではありません。
言えるのは、学校の勉強が苦手だったことと、免許が取れなかったことは、うちの場合はつながらなかったということです。
勉強が苦手なのに、どうやって学科試験の暗記をしたのですか
参考書を読んで、覚えていました。特別な教材や方法を使ったわけではありません。
うちで違ったのは中身ではなく、本人が自分からやっていたことです。
本人が「やりたい」と言わない場合はどうすればいいですか
私には、言わせる方法は分かりません。
うちも、こちらから勧めて始まった話ではありませんでした。できるとすれば、上に書いた「なぜやるのか」と「本人にとっての得」を、本人が分かる言葉にしておくところまでだと思っています。
目標さえあれば何でもできる、ということですか
そうは言えません。
ただ、同じ本人が、条件が変われば自分から動くことがあるというのは、実際に見た事実です。
おわりに
勉強ができないから無理だろう、と周りが先に線を引いてしまうことがあります。私も、参考書を読む弟の姿は想像できていませんでした。
弟は、自分で目標を決めて、自分でそこに向かいました。言われてやったのではなく、自分で決めたことをやり切った。 これは免許そのものより大きいことだったと思っています。
うちの弟は今、一人暮らしをして働いています。その手前に、この時期がありました。
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