2026-06-07
境界知能は騙されやすい・人間関係でつまずく|弟が利用された記録
はじめに
「境界知能の人は騙されやすい」。これはよく言われることですが、お金の被害として語られがちです。
でも弟を26年見てきて思うのは、これは人間関係全体のつまずきだということです。お金を取られるのは、その一番分かりやすい結果に過ぎません。お金の被害そのものについては境界知能 お金の管理ができない|借金100万円が発覚した話に書きました。この記事は、その奥にある「人との関わり方」の話です。
弟の友達は、ごく普通の人たちだった
意外に思われるかもしれませんが、弟の友人は、ごく一般の人たちが多いです。
支援の枠の中だけで生きているわけではなく、普通に友達を作って、普通に遊びに行きます。人当たりがよくて好かれるので、人間関係自体は広い。
ただ、その「広さ」が、必ずしも本人を守ってはくれませんでした。
何度も、利用されてきた
弟は、何度も人に利用され、騙されてきました。
特に女性に弱く、これまで何度も数十万円単位のお金を取られています。母が用意してくれた自動車学校のお金まで、人に取られてしまったことがありました。
一番象徴的だったのが、「夜逃げ」の一件です。
相手は、前の職場の女性の同僚でした。二人とも職場の寮に住んでいて、その女性が「職場を辞めたいのに辞めさせてもらえない、夜逃げしたい」と弟に相談したのが始まりです。彼女は車を持っていなかったので、車を出せる弟を頼ったのだと思います。
弟は、その女性のことが好きでした。だから頼られたことが嬉しくて、一緒に夜逃げをした——というのが、たぶん本当のところだと私は想像しています。二人は夜逃げ先の都市部の漫画喫茶で数日間を過ごしました。そして最後は、弟はそこでお金を盗まれ、置き去りにされました。
好きな人に頼られて、断れずに、力を貸して、最後は利用されて置いていかれる。弟の人間関係のつまずきが、全部詰まったような出来事でした。反社関連の会社で利用されて暴力を振るわれた話は境界知能に向いてる仕事にも書きました。
弟は、人を疑うことをしません。目の前の相手を信じて、求められればお金も時間も差し出してしまう。
なぜ、騙されやすいのか
弟を見ていて分かったのは、根っこにあるのは**「断れない」**ということです。
どんなことでも、頼まれると断れない。「貸して」と言われたら貸す。「一緒に来て」と言われたら行く。その場の関係を壊したくない、嫌われたくないという気持ちが、損得の判断より先に立ってしまう。
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悪い相手と深く関わると、悪い方向へ
もう一つ怖いのが、関わる相手によって、弟自身が大きく変わってしまうことです。
一般常識から外れた人と深く関わると、弟もそちらに引っ張られ、悪い方向に進んでいきました。判断力が弱いぶん、近くにいる人の影響をそのまま受けてしまう。
逆に、弟のことを理解してくれる人がそばにいる時は、弟は安定していました。「誰と関わるか」が、本人の人生をそのまま左右しました。
騙されるたびに、自尊心が削られていく
そして、これが一番つらいところです。
騙されて、傷ついて、関係が終わる。これを繰り返すたびに、弟の自尊心は少しずつ削られていきました。「また自分はダメだった」「どうせ自分なんて」。失敗が、本人の心を追い込んでいく。
お金の被害は取り返せることもあります。でも、削られた自尊心を戻すのは、もっと時間がかかります。
家族や周りにできること
弟の経験から、周りにできることを挙げるなら2つです。
1つ目は、「関わる人を選ぶ視点」を一緒に持つこと。 本人だけでは「いい人か悪い人か」の判断が難しい。だから、新しく親しくなった相手について、さりげなく一緒に考える時間を作る。頭ごなしに「その人とは付き合うな」では、かえって隠すようになります。
2つ目は、騙されても本人を責めないこと。 「お前が悪い」と責めると、自尊心がさらに削られ、相談すらしてくれなくなります。責めるより、「次はこうしよう」を一緒に考えるほうが、長い目で見て本人を守ります。
まとめ
境界知能と人間関係について、弟を見てきて言えるのはこうです。
- 友達は普通にできる。でも「広さ」が本人を守るとは限らない
- 根っこにあるのは「断れない」こと
- 関わる相手次第で、本人が良くも悪くも変わる
- 騙されるたびに自尊心が削られていく
- 周りは「関わる人を選ぶ視点」を一緒に持ち、失敗を責めない
人間関係のつまずきを防ぐには、本人がどんな場面で断れず、どんな相手に弱いのかを、周りが把握しておくことが助けになります。
私たちが作っている「ヨゾラ」は、相談を重ねるほど本人の傾向が蓄積され、つまずきやすい場面が見えてくるツールです。本人を責めるためではなく、本人を守り、自尊心を保つための相棒として使ってもらえたらと思います。
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ヨゾラ
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