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2026-03-31

境界知能の高校選び|支援学校を1年で脱走した弟の実体験

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はじめに

弟は高校を県内の支援学校に進学しました。そして1年経たないうちに脱走しました。

「境界知能の子の高校、どこにすればいいのか」。これは本当に難しい問題です。うちの場合の実体験を書きます。

なぜ支援学校を選んだか

弟は中学校まで地元の学校に通っていました。勉強はまったくできませんでしたが、友達は多く、コミュニケーションには問題がありませんでした(中学校までの普通級・支援級の経緯は境界知能 普通級か支援級か|3回転籍した弟の実体験)。

高校進学については、父と担任が話し合いました。普通高校は学力的に厳しい。弟のIQ(68)だと、支援学校が選択肢として挙がりました。

父も悩んだと思います。ただ「勉強面で支えてもらえる場所」として支援学校を選びました。

1年で脱走した理由

弟は1年も経たずに支援学校を脱走しました。

理由は「重度の障害を持っている子と一緒にいるのが耐えられなかった」。

弟は見た目が普通です。会話も普通にできます。スポーツもできます。中学ではクラスの中心人物でした。

そんな弟にとって、支援学校の環境は「自分がいるべき場所じゃない」と感じたのでしょう。

祖母と兄の私の2人で片道2時間かけて弟を迎えに行ったことを覚えています。

境界知能の子の高校選びが難しい理由

弟の経験から分かったのは、境界知能・軽度知的障害の子は「どの高校にも完璧にフィットしない」ということです。

  • 普通高校 → 学力的についていけない
  • 支援学校 → 重度の子と一緒にいることに耐えられない。「自分は普通だ」と思っているから
  • 通信制高校 → 自分で学習を管理する能力が必要。境界知能の子には難しい場合がある

完璧な選択肢がありません。これが現実です。

境界知能の子が選べる高校と、向き・不向き

弟のときに調べたこと、そして後から「知っておけばよかった」と思ったことを整理します。境界知能・軽度知的障害の子が選べる進学先は、大きく5つあります。

1. 全日制の普通高校 学力で入れるなら一番「普通」のルートです。ただし授業のスピードについていけず、入学後に苦しくなることが多い。偏差値が高くない高校や、面倒見のよい私立を選ぶと、負担が減ることがあります。

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2. 定時制高校 少人数でゆっくり学べる学校が多く、いろいろな背景の生徒がいるので「自分だけが浮く」感覚になりにくいのが利点です。弟のように「支援学校は合わないけれど、普通高校は学力的に厳しい」子の受け皿になりやすい選択肢です。

3. 通信制高校・サポート校 自分のペースで学べる一方、学習を自分で管理する力が必要です。境界知能の子には負担になることもあるので、登校日数が多めのコースや、面倒を見てくれるサポート校を併用すると安心です。

4. 特別支援学校(高等部) 勉強や就労の支援は手厚い反面、弟のように「自分は普通だ」と感じている子は、重い障害のある子と過ごす環境に強く反発することがあります。本人の自己認識との相性を、入学前の見学で必ず確かめてほしいポイントです。

5. 高等専修学校など 調理・美容・ITなど、手に職をつける学校です。「勉強」より「専門的な技能を身につけること」のほうが合う子は、ここで自信を取り戻すこともあります。

どれにも一長一短があり、「IQがいくつだからこの学校」と機械的には決められません。

高校を選ぶときに見たい5つの基準

学力だけで決めると、弟のように入学後でつまずきます。今の私が当時の母にアドバイスするなら、この5つを見ます。

  1. 本人の自己認識 — 本人が自分をどう捉えているか。「普通」だと思っている子に、支援色の強い環境は合いにくい
  2. 学力との距離 — 授業についていけるか。背伸びは続きません
  3. 通学の負担 — 距離や乗り換え。毎日のことなので軽視できない
  4. 人間関係・居心地 — 「自分がいていい場所」と感じられるか。ここが弟の脱走の核心でした
  5. 卒業後の出口 — 就労や次の進路につながるか

見学や体験入学で、本人の反応を直接見るのが一番確実です。

脱走した後、どうなったか

支援学校を脱走した後、弟は実家に戻りました。そこからアルバイトを始めましたが、どれも1ヶ月続きませんでした。

その後、家を出て、自分で仕事を見つけて、転職を繰り返しながら26歳の今に至ります。

高校を途中で辞めたことが弟の人生を決定づけたかというと、そうでもないと思います。弟は高校の外で、自分の生き方を見つけていきました。

同じ状況の親御さんへ

高校選びに「正解」はありません。うちの弟は支援学校を選んで脱走しました。ただそれが「間違い」だったとも思いません。行ってみないと分からなかった。

選ぶ時に一つだけ意識してほしいのは、「ダメだったら変えられる」ということです。一度の選択で全てが決まるわけではありません。

弟は高校を中退しましたが、26歳の今、自分で働いて生きています。高校が人生の全てではありません(26歳の現在地は境界知能の将来はどうなる?IQ68の弟が26歳になった現在)。

大事なのは、お子さんの特性を理解した上で判断すること。何が得意で何が苦手か、どんな環境なら居心地がいいか。その傾向を蓄積しておくと、進路選びだけでなくその先の就労や自立の場面でも役に立ちます。私たちが作っている「ヨゾラ」は、相談を通じてお子さんの傾向を蓄積し、その子に合った判断材料を提供するツールです。一人で悩まず、相談してみてください。

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