2026-06-16
境界知能の子育てに疲れたとき|一人で抱え込まないための考え方
はじめに
私の弟は26歳で、IQは68です。診断は軽度知的障害で、家族の中では「グレーゾーン」と呼んでいます。
私自身は当事者ではありません。母が弟を育てるのを、兄として26年間すぐそばで見てきました。
この記事は、その立場から書きます。「境界知能の子育てに疲れた」「しんどい」と検索してここに来た方に、私が見てきたことの中から、少しでも楽になるヒントを残したいと思います。
先に言っておきたいことがあります。疲れているのは、あなたの愛情が足りないからでも、育て方が悪いからでもありません。 むしろ、ちゃんと向き合っているからこそ疲れるのです。
我が家にも、本当にしんどい時期がありました
弟にも、家族にとって本当にしんどい時期がありました。
仕事が続かず、職場をころころ変え、実家に引きこもっていた時期です。本人もうまくいかず苦しかったのだと思いますが、その苛立ちが家族に向かい、母をはじめ家族にきつく当たってしまうこともありました。
そのとき一番すり減っていたのは、間違いなく母でした。
親が一人で抱え込むと、共倒れになる
今振り返って思うのは、疲れの一番の原因は「一人で全部背負ってしまうこと」だった ということです。
母は、弟のことを一人で何とかしようとしていました。学校との連絡も、進路も、就職も、日々の声かけも、ほとんど母一人。うまくいかないと、母が一人で受け止めていました。
境界知能の子育ては、終わりが見えにくいぶん、一人で抱えると本当にきつい。だからまず伝えたいのは、抱え込まないでください、ということです。
私が見つけた答え:「本人が耳を傾けられる“もう一人の存在”」
私が大事だと思うのは、本人が比較的素直に耳を傾けられる“もう一人の存在”を、早いうちから作っておくこと です。
両親がそろっているなら、どちらか一方でいい。兄弟がいるなら、それでもいい。とにかく、本人が「この人の言うことなら聞ける」という相手が一人いるだけで、状況はまるで変わります。
“支援を足しすぎて疲れた”と感じたら。約30年分を1冊にまとめた有料ガイドがあります。
ガイドを見るというのも、親が何度言っても聞かないことが、不思議と別の人が言うとすんなり届く、ということがよくあるからです。大事なのは「何を言うか」よりも「誰が言うか」 だったりします。だからこそ、親の思いを“もう一人の存在”が代わりに伝える――いわば「代弁」してもらうと、本人にすっと入っていくことがあります。
本人がその存在の話を聞ける状態になっていれば、親が一人で抱え込む必要がなくなり、ストレスはぐっと小さくなります。
我が家の場合、幸いにも私と弟は年子で、同じ環境で育ち、友人も重なっていました。だから弟は、私の言うことには比較的耳を傾けてくれました。弟にとって兄である私が、ひとつの救いになっていたことは、自分でも自覚しています。
親も“もう一人の存在”も、やってはいけない3つのこと
ただし、ただ近くにいればいいわけではありません。これは“もう一人の存在”だけでなく、親自身にも当てはまります。私の経験から、本人に関わる人がこの3つをやると逆効果 だと感じています。
- 感情的に怒らない。 怒ってしまうと、ただの喧嘩になります。喧嘩になった瞬間、こちらの言葉は一切届かなくなります。
- 独りよがりの説教をしない。 良かれと思っての説教ほど、的を外していることがあります。押し付けは、心を閉じさせるだけです。
- 本人の特性を無視した的外れな指摘をしない。 「普通はこうでしょ」は通用しません。その人にとって何が難しいのかを分かったうえで話さないと、ただ責めているだけになります。
裏を返せば、必要なのは 「怒らず、押し付けず、その人の特性を分かったうえで、定期的に話を聞く」 ことです。相談に乗るのは大事ですが、この土台がないと相談にもなりません。
「うちには頼れる人がいない」という方へ
ここまで読んで、「うちは一人親だし」「きょうだいもいない」と感じた方もいると思います。
無理に家族の中だけで完結させなくて大丈夫です。その“もう一人の存在”は、必ずしも家族でなくてもいい。学校の先生、支援者、第三者でもいい。大事なのは、本人が耳を傾けられて、親が一人で背負わなくて済む状態を作ることです。
私たち家族が作っているアプリ「ヨゾラ」も、その“もう一人の存在”の代わりとして使ってもらえたらと思って作りました。相談するだけで、その人の傾向が少しずつ溜まり、その人に合った関わり方が見えてきます。一人で抱え込まないための場所です。
結局、すべては「本人の特性を知ること」から
怒らないことも、説教しないことも、的外れな指摘をしないことも、突き詰めると 「その人の特性を知っているかどうか」 に行き着きます。
何が得意で、何に困っていて、どんな言い方なら届くのか。それが分かっていれば、関わり方は自然と変わり、衝突も減ります。逆に、特性を知らないまま気合いだけで向き合うと、お互いに疲れてしまいます。
だから、まずやるべきは、頑張って育てることより、その人の特性を知ること です。それが、親が疲れすぎないための一番の近道だと、私は思います。
一人で抱え込まないでください。あなたが倒れてしまっては、元も子もないのですから。
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ヨゾラ
きょうだい児が家族と一緒に作っているサービスです。生きづらさを感じている人に、その人に合った答えを届けます。