2026-09-17
境界知能の子でも資格は取れるのか|家を出た弟が一人で受けた2つ目の資格と家族の対応
はじめに
境界知能やグレーゾーンの人は資格を取ることは果たして可能なのか?
誰しも働き始めると、仕事で資格が必要になる場面が出てきます。
講習を受けたり、テキストを読んで自己学習したり。 最後には確認のテストがある。
勉強でずっと苦労してきた子の家族としてはここで身構えると思います。
私も身構えました。
この記事は、境界知能でIQ68の弟が、一人暮らしを始めたあとに2つ目の資格を取った話です。
結論:仕事で必要になった資格を、一人で取ってきました
弟が取ったのは「ゴンドラ取扱い業務特別教育」というものです。
建物から吊り下げたカゴに乗って作業するための講習です。
講習は1日で、その日のうちに終わっています。
社会人になってから2つ目の資格です。 ※1つ目は自動車の運転免許でした。
自動車免許は実家で勉強を
運転免許を取った時のことは以前に別の記事で書きました。
あの時の弟は実家で長い間勉強していました。
参考書を開いて、書いて覚えていました。
家族は同じ家にて、進み具合が見えました。
声をかけることもできました。
一人で試験に立ち向かう弟
今回は違いました。
弟はすでに家を出ていて、一人で暮らしています。
講習の申し込みも、当日の移動も、本人がやりました。
家族は何も手伝っていません。
手伝えなかったというのが正しい言い回しかもしれません。
同じ家にいないからというのもあるでしょうし、本人が前日まで 知らせなかったのです。
できたのはLINEでの応援メッセージを送ることだけ
実際私たち家族にできることというのはLINEで応援の連絡をすることだけでした。
「応援しているよ。」
「絶対大丈夫、受かるよ。」
その程度の、短い言葉です。
技術的な助言は何もしていません。 そもそも誰もゴンドラの講習を受けたことがないので、教えられることがありません。
できたのは、応援している人間がいるという事実を届けることだけでした。
受かったとき、喜ぶより先に安心しているように見えた
合格が分かったとき、弟はとても喜んでいました。
ただ、私の目には、喜んでいるというより安心しているように見えました。
ほっとした、という感じでした。
ここから先は私の見立てです。
弟はこれまでの人生で成功体験が少ないのだと思います。
勉強でうまくいった記憶がほとんどありません。
だから「受かるかどうか」が、他の人よりずっと大きな不安になるのだと思います。
1日で終わる講習でも、本人の中では大きな試験だったのだと思います。
難しさは、本人の中にある
ここで私が言いたいのは、講習が一般的に難しかったかどうかではありません。
弟が実際どれくらい大変だったのかは、私には分かりません。
分かるのは、本人が緊張していて、受かった時に安心していたということだけです。
つまり試験の難易度と、本人が感じる不安の大きさは、別のものです。
成功体験が少ない子ほど、周りが思うより不安は大きくなります。
例えば読者の皆さんが営業マンだとして、これまでの人生で1000回連続で営業に失敗していた場合 皆さんでも「次も失敗するかもしれない」と思ってしまうのではないでしょうか。 その時点ですでに営業に対する自信は失っているでしょうし、不安はとても大きいと思います。 ただ、同じ営業でもトップセールスマンの場合、「これくらい簡単でしょう」となるのです。
これと同じことが境界知能やグレーゾーンの子供たちにもかなりの頻度で発生しているのだと思います。
「これくらい簡単でしょう」という励まし方が届かないのは、このためだと思います。
家を出たあと、家族にできることは減る
自立してほしいと願って実際に子供が家を出ていくと家族にできることは減ります。
一緒に勉強することはできませんし進み具合も見えません。
当日の朝、送り出すこともできません。
残るのは、言葉を届けることだけです。
家族にできること
ここまでを踏まえて、私が今の時点で考えていることを整理します。
まず、子どもが受ける試験を周りの基準で「簡単」と判断しないほうがいいと思います。
1日で終わる講習でも、本人にとっては大きな試験になります。
なのでどんなに世間で簡単と言われている試験だろうと 勉強している時から合格発表のその後まで極端なまでに褒めちぎること それが本人の自尊心の形成に繋がると信じています。
また、家を出たあとの子であっても、面倒くさがらずに連絡を取り続けること。
同じ家にいなくてもLINEで言葉は届けられます。
むしろ、そばにいられなくなったあとのほうが言葉の役割は大きくなると思います。
よくある疑問
境界知能の子でも、仕事の資格は取れますか
弟は取りました。
ただ、資格にはいろいろな種類があります。
弟が受けたのは特別教育という区分のもので、決められた時間の講習を受けて修了するものです。
区分によって内容も時間も違うので、受けるものが決まった時点で調べたほうが確実です。
応援の言葉だけで意味があるのでしょうか
あります。
逆に応援の言葉をかけない場合の心理状況を考えてみてください。
読者の皆さんだって最大限に頑張って挑戦していることに対して 応援の言葉が欲しいですよね?
難易度は違っても、人の心理状況というものは同じだと思います。
「簡単だから大丈夫」と励ますのは良くないのですか
励ますこと自体は悪くないと思います。
ただ、「簡単だ」という部分は、本人の不安と噛み合わないことがあります。
本人にとって大きな試験なのに、簡単だと言われると、不安のほうを否定されたように受け取られるかもしれません。
私たちが送ったのは「絶対大丈夫、受かるよ」でした。
試験を軽く見るのではなく、本人を信じているという言い方になっていたのだと思います。
資格を取れば仕事は安定しますか
そこは分かりません。
弟が今の仕事を続けているのは資格を取ったからだけではないと思います。
資格はあくまで、仕事で必要になったから取ったものです。
職種や資格の種類によって状況が異なるのは万国共通です。
おわりに
弟にとって、これは社会人になってから2つ目の資格でした。
家族がやったのは、短いLINEを送ることだけです。
そばにいられなくなっても、届けられるものはありました。
他の記事でも何度も言っていますが、グレーゾーンの支援のポイントは「自尊心」を高める点に着地する その重要性を理解していただければ幸いです。
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