2026-07-20
実家に帰るとしんどい|境界知能・グレーゾーンのきょうだいがいる家の、あの空気
はじめに
私は長男で、すぐ下の弟が境界知能(グレーゾーン)です。さらにその下に、妹がいます。
「実家に帰るとしんどい」。長いあいだ、その気持ちをうまく言葉にできませんでした。でも今は、それにはちゃんと理由があると分かります。同じ立場の人に向けて、その正体を書いてみます。
「ただいま」より先に、家の空気を読んでいる
実家の玄関を開けた瞬間、私はまず弟の様子をうかがいます。機嫌はいいか、荒れていないか。「ただいま」より先に、家の空気を読んでいる自分がいる。
帰ってきたばかりなのに、もう気を張っている。境界知能のきょうだいがいる家で育つと、私たちは知らないうちに、"家の空気を守る係"を引き受けてしまうのだと思います。
家の空気は、弟の機嫌ひとつで決まる
親は、弟が言うことを聞かなかったり、悪態をついたりすることに、心も体もすり減っています。その親を支えようと、きょうだいの私が動く。弟を刺激しないように機嫌をとり、親と弟が言い合いになれば、今度は「そんな言い方したら、また刺激しちゃうじゃん」と、親のほうをなだめる。
誰が悪いわけでもないのに、家の中はいつも少しだけ殺伐としています。弟に強く言い返したい時も、適当に受け流したい時もある。でも、そこで機嫌を損ねられたら、せっかくの穏やかな空気が終わってしまう。だから常に気を張り詰めていないといけない。実家にいるあいだ、私はほとんど休まりません。
本当は、自分も子供でいたかった
本当は、実家に帰ってきた時くらい、私も子供に戻って、わがままに、自由にしていたい。でも親があの状態だと、自分を中心に何かを進めるのは難しい。だから私は、いろんな感情をいったんしまって、弟の機嫌取りに徹する。
平和な空気を守るために、自分の感情を後回しにする。それが、きょうだいの"当たり前"になっていました。
私が家を出たあと、妹はもっと過酷だった
この役目は、私が実家を出たあと、そのまま妹に移りました。
学校から帰ると、弟が暴れている。暴力や暴言が、とにかく怖い。妹はネットで「兄 暴力」と検索しても、対策なんて見つからない。遠くにいる私に連絡してきて、私もできる範囲で支えるけれど、しょせんはその場しのぎで、次の日にはまた別の問題が起きる。
弟がグレーゾーンなのは可哀想だと、妹も分かっています。でも、自分のことで精一杯なのに、これ以上どうすればいいのか。友人にも相談できない。行政に頼っても解決しないことは、もう分かっている。逃げ道がない——妹はずっと、そう感じていたと思います。
よくある質問
Q. 実家に帰るとしんどいのは、自分だけなのでしょうか。
いいえ。障害やグレーゾーンのきょうだいがいる家では、多くの人が知らないうちに「家の空気を守る係」を引き受けています。あなただけではありません。
Q. きょうだいなのに、実家を負担に感じてもいいのでしょうか。
感じていいです。長いあいだ家族のために気を張ってきたなら、しんどくなるのは自然なことです。少し距離を置くことも、薄情ではありません。
Q. 弟(きょうだい)のことを、時々「嫌だ」と思ってしまいます。
その気持ちは、あってもいいものです。大切に思う気持ちと、しんどいと感じる気持ちは、同時に存在します。どちらか一方だけが本当、ということはありません。
しんどい、と思っていい
もしあなたも「実家に帰るとしんどい」と感じているなら、そのしんどさは、当然のものだと思います。あの空気の中で、よく一人でここまで気を張ってきた。ただ、あなたはずっと、それを口に出していい場所がなかっただけです。
しんどい、と声に出していい。少し距離を置きたい、と思っていい。
そして、もしそのしんどさの半分が、疲れきったお母さんを見ていることから来ているなら——親のことも、少しだけ気にかけてあげてほしい。母がどれだけ一人で抱えてきたかは、「境界知能の子育てがつらい」にも書きました。親の心が少し軽くなるだけで、家の空気は変わります。空気が変われば、いちばん気を張ってきたあなた自身も、少しだけ楽になれるはずだから。
ひとりで抱えてきた、あなたへ
「しんどい」と感じてきたなら、その気持ちは当然のものです。
誰にも話せないまま、飲み込んできたなら。よかったら一度、聞かせてください。
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コメント
ヨゾラ
きょうだい児が家族と一緒に作っているサービスです。生きづらさを感じている人に、その人に合った答えを届けます。