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2026-04-04

境界知能の幼児期(0〜6歳)の育て方|見逃したサインの記録

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はじめに

僕の弟はIQ68で、現在26歳です。軽度知的障害と診断されていますが、境界知能の方たちと同じ「普通に見えるのに普通のことが難しい」という苦しみを抱えています。

この記事では弟の幼児期(0〜6歳)を振り返ります。

正直に言うと、兄の僕の目線では、この頃は変なところはありませんでした。ケンカはよくしていたけど、まだ学校に入る前だから勉強ができないとかスポーツができないとか、そういう問題はなかった。「やんちゃな弟」で済んでいました。

ただ、振り返ると一つだけ覚えていることがあります。

保育園の演劇:最初のサイン

保育園の演劇の時、弟は台本が覚えられませんでした。

そして出たくないと泣きじゃくっていました。

当時は「恥ずかしいのかな」くらいにしか思いませんでした。でも今振り返ると、これがサインだったのかもしれません。台本という「決められた文章を覚えて、決められた通りに話す」こと。これが弟にとっては難しかったのだと思います。

ただ、幼児が演劇で泣くことなんて珍しくないので、これだけで「おかしい」とは誰も思いませんでした。

「兄はできてるよ?」— 最悪の声かけ

この演劇の時、保育園の先生が弟に言った言葉を覚えています。

「お兄ちゃんはできてるよ?なんであなたはできないの?」

僕と弟は年子です。先生は励ますつもりだったのだと思います。でも今思えば、これは最悪の対処でした。

境界知能の子供にとって、誰かと比較されることは自尊心を削る行為です。「お兄ちゃんはできる。なぜあなたはできない?」。この問いに弟は答えられません。自分でも「なぜできないか」が分からないからです。

この「比較」は、弟の人生でずっと続きました。保育園の先生、小学校の教師、父親、祖母。母親は「周囲が味方にならないどころか、比較することで追い詰められた」と言っています。

幼児期にやってはいけないことがあるとすれば、これです。兄弟、同級生、誰かと比較すること。

なぜ幼児期に気づけなかったのか

理由は3つあると思います。

1つ目は、比較対象がないこと。

僕と弟は年子でしたが、「兄の方ができるのは当たり前」と周りも思っていました。弟が「できない」のではなく「まだ小さいから」で済まされていました。

2つ目は、健診で引っかからなかったこと。

母親は健診にちゃんと行っていました。それでも保健師から何も言われなかったそうです。「健診にちゃんと行っていたのに支援なし。保健師の関わりがなかった」と母親は今でも言います。

IQ68は軽度知的障害の範囲ですが、幼児期にIQ検査はしません。会話ができて、運動もできて、友達とも遊べる。健診の項目ではすり抜けてしまいます。

3つ目は、「普通に見える」こと。

弟は見た目も会話も普通でした。幼児期は個人差が大きいので、多少のことは「まだ小さいから」で説明がつきます。境界知能は幼児期に見つけるのが一番難しいと思います。

「あの頃に戻れたら」と母親は言う

母親に「幼児期に戻れたら何をする?」と聞いたことがあります。

「もっと一緒にいる時間をとっていたら良かった」と言いました。

ただ、すぐにこう続けました。「これ永遠のテーマ。その時その時で必死にやってきたから。後で考えるから後悔になる」。

幼児期に「正しい育て方」はありません。気づけなくても仕方がない。ただ一つ、比較だけはしないでほしい。「兄はできてるよ」「○○ちゃんはできるのに」。この言葉は、境界知能の子供の自尊心を確実に削ります。

そして「気になったこと」は何でもいいからメモしておくこと。演劇で泣いた、ルールが覚えられなかった、切り替えが苦手だった。一つ一つは大したことないように見えても、蓄積すると後から傾向が見えてきます。

僕たちが作っている「ヨゾラ」は、相談するだけでお子さんの傾向が自動で蓄積されるツールです。幼児期の「気になること」を記録し、相談できる場所として使ってもらえたらと思います。

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